ぞうさんペーパーができるまで

象のウンチをリサイクル

「ぞうさんペーパー」が作られているスリランカは、ジャングルやサンゴ礁の青い海など自然がたくさん残っている、とても素晴らしく美しい島国です。しかし、ここ数年は町のいたるところにゴミの山や放置された粗大ゴミなどを見かけることが多くなり、古い自動車が撒き散らす排気ガスで、空気は激しく汚れ、青くきれいだった空もスモッグで曇り、自然環境が加速度的に破壊されつつあります。

それは町だけではなく、ジャングルでも同じことが起きています。住みかや餌を探して迷い込んだ野生のゾウたちが、頻繁に人間の民家に入り込んでおこすトラブルや事件がここ数年特に多く発生しています。民家周辺でウロウロするゾウは、時にパニックを起こし、結果的にゾウが撃ち殺されたりしています。家を壊されたり命を落としたりなど、人間が被害に遭うことも多くあります。

そんな中、ゾウと人間がうまく共存できるビジネスモデルとして登場したのが「ぞうさんペーパー」でした。「ぞうさんペーパー」とは、ゾウのウンチをリサイクルした、100%手作りの再生紙のことで、現在ではこの「ぞうさんペーパー」で作られたノートやフォトフレーム、メモパッドなどのグッズが、日本の動物園をはじめ世界中の動物園へも輸出されています。

「ぞうさんペーパー」は、コロンボ市から車で3時間ほど走ったところにあるケーゴール市という田舎町にある素朴な工場で、とてものんびりした雰囲気の中、作られています。すぐ近所には、ゾウの孤児院という公的な施設があり、そこでは体の不自由なゾウや、親のいない小象などが保護されています。
「ぞうさんペーパー」製造工場のスタッフ達は、そんなゾウ達のウンチをせっせと拾い集め、工場へ持って帰り、そして紙を作っています。